平成23年度 父母懇談会

《1.愛媛県支部編》

 夏目漱石の小説『坊っちゃん』の舞台となった愛媛県松山市。6月4日(土)、その松山市の松山東映ホテルで愛媛県支部の父母懇談会が開催されました。今年は例年より早い梅雨入りとなりましたが、幸い天気に恵まれ、遠く離れて暮らすお子さまの様子を知りたいと30余名のご父母が参加され、先生方や他のご父母と交流して情報収集されていました。




〈学部長挨拶〉
◆東日本大震災の被災学生に対する
 長期的な支援を約束

 大学側出席者を代表して、工学部第一部学部長の半谷精一郎先生が登壇。「半分の谷と書いて"はんがい" と申します」と自己紹介の後、最初に東日本大震災について触れられました。不幸中の幸いで大学そのものは大きなダメージを受けることなく、学位記・修了証書授与式と入学式こそ取りやめになりましたが、授業については特段の支障なく、例年通りに進められていることが報告されました。しかし、教職員、学生に人的な被害はなかったものの、保護者等の中には被災された方も少なくないため、「これからも長い期間にわたっていろいろな形で支援していかなければならないと思っています」と決意を述べられました。

◆学生に資するため、父母懇談会での
 忌憚のない意見交換を希望

 さらに、「父母懇談会は、大学生活、就職や進学と、それぞれの学生の状況についてご父母と教職員が情報交換する場」と半谷先生。「各学部から先生方が来ていますので、いろいろと遠慮なくご相談いただき、学生の将来にプラスになる会にしたい」と結ばれました。

〈大学を取り巻く環境〉
◆教育環境の整備状況と
 東日本大震災被災学生支援奨学金の設立を報告

 学校法人東京理科大学を代表して、理事の幡野純先生が、東日本大震災に関する対応と大学の現状および将来展望について話されました。大震災当日、教職員と学生合わせて、神楽坂校舎で1,000名以上、野田校舎で500名以上が大学に泊まり、炊き出し等が行われたことを報告。また、被災学生に対する経済的措置として学費免除のほか、こうよう会等の寄付等を原資とした東日本大震災被災学生支援奨学金を設立して次年度以降もできるかぎりの支援策を取っていくことが約束されました。その後、データや写真とともに、キャンパスの再開発や財政状況等が概説されました。

〈就職状況&学園生活について〉
◆採用選考に関する倫理憲章の改定や
 大震災が就職活動に与える影響を説明

 昨年度の進路状況、企業・公務員・教員・大学院進学、今後の進路支援のあり方、学園生活の4項目について概要が説明されました。特にご父母の関心が高い就職活動については、今年3月、さらなる学習環境の確保などを理由に倫理憲章が改定され、企業側の採用活動の開始がこれまでより2か月遅くなり、学生の企業研究の準備期間にも影響があると予想されるとのことです。また、大震災の影響で現在の学部4 年生と修士課程2 年生の選考開始時期を遅らせる企業が増えています。今後もこうした企業が増加すると思われ、就職活動は長期化する傾向にあるそうです。

〈分科会〉
◆個人面談の前に
 教員が大学院進学状況を概説する学部も

 全体会の会場がそのまま分科会の会場となった理学部第一部と理工学部の修学履修懇談会では、個人面談の前に先生が進路の話を中心に、学部の概要を説明。理系では修士課程に進むのが一般的であることや、大学院修士課程修了後の就職は、一部上場企業などに限定しなければ特に問題がないなど、先生の生の声は説得力があります。質疑応答では、大学院進学の成績基準や併願などが質問され、先生は実態を踏まえて、かなり踏み込んだ答えをされていました。

◆個人面談では、成績表を手に
 真剣な面持ちで相談するご父母たち

 理学部第一部と理工学部以外の修学履修懇談会は、最初から個人面談の形式で進められました。ご父母は受付で配付された前年度の成績表などを見ながら、お子さまの単位の取得状況や進路について、先生に相談されていました。先生方はどのような質問や疑問にも丁寧に対応されており、最初は緊張気味だったご父母も、徐々に不安が解消され、すっきりした面持ちで分科会の会場を後にされていました。また、お子さまに関しての相談だけでなく、先生の研究内容について伺い、知的好奇心が刺激されたとおっしゃるご父母もいらっしゃいました。

◆OBコーナー
 待ち時間を有意義に活用するために新設

 昨年の父母懇談会では、個人面談の順番が来るまでの時間を持て余されていたご父母も少なくなかったことから、今回は、役員OB の協力を得て、OBコーナーが設けられました。同じ理科大生の親同士ということで、ざっくばらんに話せ、情報交換できる場として作られたOBコーナー。来年は教職員の方にも加わっていただき、より一層有意義な情報交換の場にしたいと山本支部長はおっしゃっていました。

〈懇親会〉
◆面談で不安を解消し、
 楽しく交流を深められました

 分科会の後は、会場を1 階のレストランに移して懇親会が行われました。アルコールも用意され、砕けた雰囲気の中、先生とご父母、ご父母同士、さらには来賓の理窓会の方々と、さまざまな話題で話がはずみ、あっという間に予定の1 時間半余りが過ぎていきました。


《2.群馬県支部編》

 前線の停滞で雨の一日となった7月31日(日)、群馬県支部の父母懇談会が高崎ビューホテルで開催されました。北関東の群馬県出身者は、久喜キャンパスに通う一部の学生を除き、大半がひとり暮らしをしています。そのため、顔を合わせる機会の少ないお子さまの学生生活の様子や就職活動について知りたいと、約50組60名弱のご父母が参加されました。




〈副学長挨拶〉
◆15%の節電を実現しつつ、 
 教育はしっかりと行っていることを保証

 父母懇談会には、大学から理事・教員11名、職員7名が出席。その代表として菊池正紀副学長が挨拶に立たれ、「東日本大震災では、本学でも家庭が被災した学生が相当数います。そういう学生に対して理事会、学長室が先頭に立って支援策を講じているところですが、それに対して、こうよう会から多額のご寄附をいただきました」とお礼の言葉を述べられました。
 大震災の影響として、7月からは電力使用制限令が発動されましたが、授業や試験に影響を及ぼさない部分で節電に努め、15%削減が実現できていることを報告。大学の本分である教育はしっかり行われており、「どうぞご安心ください」と心強い言葉がありました。
 菊池副学長は、「夏休みは、お子さま方が帰省される時期です。その機会に、より一層コミュニケーションを深めていただきたい」と述べ、その中で「お子さまが何か不安や不満を持っていらっしゃれば、大学に連絡してください」と、ご父母と大学の間での情報共有の大切さを強調し、問題があれば、適切かつ速やかに解決の努力をしたいと話されました。

〈大学を取り巻く環境〉
◆国際化の重要性が増す昨今、
 協定を内容あるものにする取り組みに注力

 副学長の挨拶に続いて常務理事の渡辺恒夫先生が登壇され、理事会を代表して大学の現況を報告されました。冒頭、東日本大震災に関する支援策に言及。その後、産業界の要請に応える人材を育成する教育拠点型の大学をめざし、さまざまな教育・研究の環境整備を行っていることを紹介されました。特に本学は、19か国(45大学3機関)と協定を結んでおり、今後、これをより実質的なものにしていくと同時に、留学生を積極的に受け入れる施策を進めるなど、大学の国際化の重要性を強調されました。最後に、新しい葛飾キャンパスを含め、各キャンパスの再開発・整備状況と財政状況を説明されました。

〈就職状況&学園生活について〉
◆就職活動の現状、大学側の支援のあり方、
 奨学金制度等について説明

 就職状況については、求人倍率の推移等を解説しながら現状を報告。さらに、一般企業の就職活動を中心に、公務員、教員、大学院進学それぞれについて説明されました。就職活動や採用試験の一般的なスケジュールを紹介するとともに、実績の数字を豊富に示して現状を解説。また、大学では長万部を除く各キャンパスにキャリアカウンセラーという専門の相談員を配属するなど、個別支援に力を入れていることも紹介されました。学生生活については年間スケジュール、奨学金制度、課外活動、学部ごとの進級状況、学生よろず相談室などが取り上げられました。

〈分科会〉
◆学部の先生から成績について
 詳細な説明が聞けると好評な個人面談

 分科会は、学部ごとの修学履修懇談会、就職懇談会、学生生活懇談会に分かれて実施されました。ほとんどのご父母がまず学部ごとの修学履修懇談会に参加されます。各学部とも、教員との個人面談形式で進められました。2年次以上は受付で前年度の成績が渡されているので、それを先生に見ていただいて、お子さまの履修状況について説明を受けたり、進路について相談されていました。個人面談の順番を待つ間は、同じ群馬県在住で理科大生の親という共通点があることから、割合、気さくにご父母同士でお話しされている姿が見られました。

◆就職状況が気になるご父母は
 就職懇談会にも参加し、職員と面談

 就職懇談会は、就職課の職員がご父母と個人面談を行いました。修学履修懇談会で教員から成績や履修状況をもとに進路についてアドバイスを受け、より具体的な就職活動について相談ができると、進路決定の時期を迎える3年生のご父母や就職活動中の4年生のご父母らが面談されていました。また、1年次のご父母は、離れて暮らすお子さまの大学生活について知りたいと、学生生活懇談会で説明を聞いていらっしゃいました。
 分科会での面談を終えられたご父母は、懇親会までの間、日本庭園風の会場ロビーで配付された資料をながめたり、ご父母同士で情報交換をされたりしていました。

〈懇親会〉
◆教員や薬剤師をされている
 卒業生も大勢ご参加

 軽食や飲み物が用意され立食形式で行われた懇親会には、教職員とご父母に加え、理窓会群馬県支部から10名ほどのOBが参加され、なごやかにお話しされていました。